新たな感染症の懸念
新型コロナウイルスとの戦いが続く中、別の感染症、麻疹(はしか)の流行が懸念されています。国内では土着ウイルスは存在しないとされていますが、今年の5月までに既に昨年の報告者数を上回る10人の患者が確認されています。
感染症「麻疹」とは?
麻疹ウイルスにより引き起こされるこの感染症は、空気や飛沫から感染します。感染すると、10日程度の潜伏期間を経て発熱やせきが出るほか、高熱や発疹が現れます。さらに肺炎などを併発することもあり、特別な治療法がないため、感染者の1000人に1人が死亡する危険性もあります。
日本における麻疹の歴史と現状
日本では2008年には1万人以上の患者が確認されましたが、ワクチンの定期接種が2回に増えたことなどで、2015年には患者数が35人に激減しました。その結果、世界保健機関(WHO)からは、国内に土着ウイルスがいない「排除状態」と認定されています。
新型コロナとの関連性
新型コロナウイルスの流行が、麻疹の状況にも影響を与えています。新型コロナの流行とともに海外との往来が減少し、水際対策が強化されたことで、麻疹の患者数も減少してきました。しかし、最近では海外への旅行者や訪日客が増加し始めたことで、麻疹ウイルスの流入リスクが再び高まることが懸念されています。
麻疹予防におけるワクチン接種の重要性
麻疹の予防には、ワクチン接種が最も効果的です。定期接種の機会は1歳時と小学校入学前の2回ありますが、2021年度の2回目の接種率は93.8%で、低下傾向にあります。新型コロナウイルスの影響で受診を控える傾向にあると見られ、ここにも新型コロナの影響が見られます。
まとめ
麻疹の流行が再び高まる可能性に対し、ワクチン接種の重要性が改めて認識されています。新型コロナウイルスの影響で受診を控える人々に対し、ワクチン接種の大切さと必要性を再認識し、定期接種の機会を逃さないことが強く訴えられています。まさに、パンデミックという大きな課題を抱える中でも、他の感染症への対策を忘れてはならない、ということを改めて示す事例と言えるでしょう。