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がん予防と経済的インパクト:予防対策がもたらす1兆円の節約と社会への影響

2023年08月02日

がんの予防には、個々の命を救うという明らかな利点がありますが、その経済的影響については十分に認識されていないかもしれません。国立がん研究センターなどが行った新たな研究によると、がんが社会に及ぼす経済的負担は年間約2兆8600億円に上り、そのうち約1兆円は予防可能ながんによるものであるとされています。この結果は、がんの予防が社会全体の経済にも大きな影響を及ぼすことを示しています。

がんと社会経済: 巨大な負担

研究チームは、2015年に日本で治療を受けたがん患者約400万人について、医療費と労働損失を推計しました。その結果、医療費と労働損失を合わせた経済的負担の総額は約2兆8600億円だったのです。これは、がんの予防と早期発見に力を注ぐことで、社会経済に対する負担を大幅に軽減できる可能性を示しています。

予防可能ながんとその経済的影響

さらに、予防可能ながんによる経済的負担は約1兆200億円と見積もられました。これは、健康な生活習慣を実践し、適切な予防策を講じることで節約できる巨額の費用です。

要因別にみると、感染が約4800億円で最も多く、次いで能動喫煙が約4300億円、飲酒が約1700億円、運動不足が約340億円、過体重が約190億円と続きます。これらの結果は、生活習慣や行動の選択が、個々の健康だけでなく社会全体の経済にも大きな影響を及ぼすことを示しています。

予防策の導入とその影響

さらに詳しくみてみると、感染による経済的負担の中では、ピロリ菌による胃がんが約2100億円、ヒトパピローマウイルス(HPV)による子宮頸がんが約640億円、肝炎ウイルスによる肝臓がんが約610億円に上ります。これらの感染によるがんは、適切な予防策を講じることでリスクを大幅に軽減できます。

たとえば、ピロリ菌に対する除菌治療やHPVに対するワクチン接種、肝炎ウイルスに対する薬物治療などの予防策があります。これらの対策は、感染によるがんのリスクを大幅に軽減することが証明されています。

社会的認識と予防策の普及

しかし、これらの予防策が普及している現状とは言えません。その理由の一つには、予防策の存在や効果についての認識が低いことが挙げられます。これらの予防策についての啓発と教育の必要性が強調されています。

一方で、予防策の導入には、政策の支持と資源の投資が必要です。これは、予防策が初期投資を必要とする一方で、長期的には健康と経済に対する大きな利益をもたらすことを意味します。

結論:予防は最良の対策

この研究は、がんの予防が個々人の健康と寿命だけでなく、社会全体の経済にも重大な影響を与えることを示しています。がん予防は、社会全体の経済的負担を大幅に軽減し、健康と寿命を向上させる可能性を秘めています。

だからこそ、がん予防の重要性を理解し、予防策を普及させることが急務です。これは、政策立案者、医療提供者、市民全体の共同の努力を必要とします。