概要と注目点
財務省が発表した2022年度の国際収支速報によれば、経常収支は前年度比54.2%減の9兆2256億円の黒字となりました。これは、資源高や円安で貿易赤字が過去最大の18兆円を超え、14年度以来8年ぶりに10兆円を下回った結果です。
輸出入の詳細と影響
輸出額は自動車や軽油、鉄鋼などが伸び、16.3%増の99兆6207億円を記録しました。一方、輸入額は原油や石炭を中心に35.0%増の117兆6809億円となり、いずれも過去最大を更新しました。資源価格の高騰と円安が重なった結果、貿易収支の赤字額は18兆602億円となりました。
所得収支とサービス収支
一方で、配当や利子収入などを示す第1次所得収支は、商社や自動車、海運などの好況を反映し、過去最大の35兆5591億円の黒字を確保しました。しかし、モノ以外の取引状況を示すサービス収支は5兆2765億円の赤字となりました。
未来への展望
同時に発表された2023年3月の経常収支は、前年同月比29.6%減の2兆2781億円の黒字となりました。貿易赤字額は4544億円と前年より拡大しましたが、旅行需要の回復などでサービス収支が大きく改善し、2ヶ月連続で経常黒字を確保しました。
まとめ
2022年度の国際収支速報は、資源高や円安の影響で過去最大の貿易赤字を記録した一方で、所得収支の増加やサービス収支の改善により経常収支は黒字を維持したという結果を示しました。今後の為替や資源価格の動向、今後の為替や資源価格の動向、サービス取引の回復速度などが経常収支に影響を及ぼす要素となります。また、サービス収支の改善が続けば、経常収支の黒字をさらに広げる可能性もあります。経済の先行きを予測するには、これらの要素を総合的に考慮する必要があります。