サル痘:一体何なのか?
サル痘(エムポックス)は天然痘に似た症状を示す感染症で、その原因はウイルスです。サル痘ウイルスは発疹部分との接触や体液などを介して人から人へ感染します。潜伏期間は通常6〜13日間で、発熱や水疱が出現するなどの症状が現れます。感染した大多数の人は2〜4週間で自然に回復しますが、小児や妊婦、免疫力が低下した人の中には、重症化する可能性もあります。
WHOの緊急事態宣言とその終了
昨年5月以降、サル痘は欧米を中心に感染が拡大し、世界保健機関(WHO)は同年7月にサル痘の流行を「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に当たると宣言しました。しかしながら、今年に入ってから感染者が減少し続けていることを受けて、WHOは緊急事態宣言の解除を発表しました。
日本の現状:患者数増加に伴う警戒
厚生労働省によると、国内では昨年7月に初めてサル痘の患者が確認され、その後も感染者数が増え続けています。今年に入ってからは特に感染者が増加し、19日時点での感染者は累計149人となっています。海外渡航歴のない患者も増えており、厚生労働省は警戒を強めています。
原因と対策:性的接触と新型コロナウイルスの影響
国立感染症研究所の斎藤智也・感染症危機管理研究センター長は、今年に入り増加した原因について「新型コロナウイルスによって抑えられていた人との接触機会が増え、感染リスクの高い性的接触の機会が増えたのではないか」と分析しています。新型コロナウイルスのパンデミックに伴う社会的な距離が緩和されるにつれて、人々の接触機会が増加し、その結果、サル痘の感染リスクが高まっているのです。
これを受けて、斎藤センター長は、「引き続きリスクの高い行動には気を付けて、症状がある場合は早めに医療機関を受診してほしい」と呼びかけています。その上で、サル痘のリスクが高い人々への意識向上と啓発活動の重要性も強調しています。また、特に注意が必要なのは、性的接触のリスクが高い人々です。これには、複数のパートナーがいる人々や、安全な性行為の実践を疎かにしている人々が含まれます。
感染症防止への継続的な努力
厚生労働省と各地の保健所は、サル痘の情報を広め、予防措置をとることを奨励する啓発活動を続けています。さらに、具体的な予防策としては、特にリスクの高い性的行動を避け、もし症状が現れたらすぐに医療機関を受診することが推奨されています。
一方、国立感染症研究所や他の研究機関では、サル痘ウイルスに対する新しい治療法やワクチンの開発に向けた研究が進められています。これらの努力は、未来のサル痘のアウトブレイクを防ぐために不可欠であり、私たちの公衆衛生への取り組みを強化するための重要な一歩となります。
まとめ
WHOがサル痘に関する緊急事態宣言を解除したにせよ、日本国内では依然として感染者が増え続けているという事実は、この感染症に対する警戒心を持ち続けるべきであることを示しています。特に、性的接触のリスクが高い行動に対しては、適切な防護措置を講じることが重要です。また、感染したと思われる症状がある場合には、すぐに医療機関を受診することが求められます。日本の厚生労働省と国立感染症研究所は、サル痘の感染拡大を防ぐために、引き続き公衆衛生への啓発活動と研究を行っていくことが期待されています。