今年で30周年を迎えた道の駅は、かつてはトイレと駐車場があれば十分だったが、次第に観光地として定着し、最近では地域住民の生活や防災の拠点としても機能している。しかし、利用客の減少や設備投資で赤字に陥る施設も存在し、地域活性化と安定運営の両立に向けた工夫が求められている。
道の駅の変遷
1993年に初めて103カ所が登録された道の駅は、2023年2月時点で1204カ所に増えました。全国道の駅連絡会によれば、全施設の年間売上額は約2500億円に達し、温泉や遊園地なども併設することで、一日過ごせる道の駅も増えています。
多様な施設の登場
道の駅が多様化し、観光地化する中で、農産物直売所や特産品の販売、地元グルメを提供する飲食店、宿泊施設、体験型イベントなど、地域の特色を生かした様々な施設が併設されるようになりました。これにより、道の駅は観光客だけでなく地元住民にも愛される場所となっています。
防災拠点としての役割
また、地域の防災拠点として機能する道の駅も増えてきました。災害時には避難所や物資集積所として利用されるほか、地域住民の交流の場としても重要な役割を担っています。
競争と赤字の現実
一方で、他の道の駅や商業施設との競争によって客足が伸び悩み、市町村からの交付金で経営を維持する施設も少なくありません。これにより、道の駅の運営には財政的な負担がかかっているのが現状です。
地域活性化の工夫
地域活性化と安定運営の両立を目指し、各地で様々な工夫が続けられています。例えば、岡山県矢掛町に2021年オープンした「道の駅山陽道やかげ宿」は、地域全体を活性化するための独自の取り組みを行っています。この施設は町中心部に位置し、隣接する歴史的な町並みで買い物や飲食を楽しんでもらうことを狙っています。道の駅が地域全体の玄関口となることで、人の流れが商店街にも届くようになり、新店舗のオープンにもつながっています。
地域コラボレーション
地域の自治体や商工会、観光協会などが連携し、道の駅を活用したイベントやキャンペーンを開催することで、地域全体の盛り上がりを創出しています。また、地域の特産品や観光資源を生かしたオリジナルグッズの開発や、地元産の食材を使用したメニューの提供など、地域の魅力を発信する取り組みも行われています。
持続可能な経営モデルの模索
道の駅の運営においては、利益を上げるために施設の多様化や地域との連携が重要ですが、持続可能な経営モデルの確立も求められています。そのため、設備の効率化やエネルギー消費の削減、リサイクルや廃棄物処理の改善など、環境に配慮した運営が進められています。
まとめ
道の駅は30年間でさまざまな役割を担うようになりましたが、赤字施設も現実として存在します。地域活性化と安定運営の両立を目指し、各地で様々な工夫が続けられています。今後も道の駅が地域の魅力を発信し、地域経済の活性化に貢献することが期待されています。