2022年、奨学金の返還を苦にしたと考えられる自殺者が10人いたと警察庁の統計が明らかにしました。この数字は氷山の一角にすぎないかもしれませんが、奨学金返還問題に対する注目を強めるきっかけになりました。
奨学金返済と自殺の関連性
自殺の原因や動機についての統計は、警察庁や厚生労働省により、遺書や遺族への聞き取りを基に分類されます。2022年からはこれらの項目が細分化され、新たに「奨学金の返済苦」が項目として追加されました。そして、その年、奨学金が自殺の原因や動機の一つとされた10人の中には、20~30代の男性6人と10~20代および40代の女性4人が含まれていました。
貸与型奨学金とその負担
奨学金利用者の多くは、返還が必要な貸与型奨学金を利用しています。日本学生支援機構(JASSO)によると、2021年度に奨学金を利用した学生148万人のうち、貸与型を利用した学生は約8割を占めていました。そして一般的に卒業後の返済期間は12~20年に及び、返還額は人によっては1千万円前後になることもあります。
問題提起と改善への提案
この状況は、大学教育の費用と財政的な負担が、一部の若者を絶望に追い込んでいる可能性を示しています。国は、返す必要のない給付型奨学金の拡充などを打ち出していますが、識者や支援者は、「現在返還を進めている人への施策が必要」だと指摘しています。また、奨学金返還問題に対する支援体制の整備、情報提供、金利の見直し、返還期間の延長などの措置も提案されています。
まとめ
奨学金返済問題は、若者たちが教育を受けるための機会を得る一方で、その重責に苦しんでいる現実を浮き彫りにしています。ここから前に進むためには、返済に苦しんでいる人々への具体的な支援策の開発と実行が急務です。