先日のニュースでは、欧州宇宙機関(ESA)が新開発の宇宙望遠鏡「ユークリッド」を米フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地から打ち上げたと伝えられました。その目的は、最大20億個の銀河をマッピングし、物理学の最大の謎ともいわれる「暗黒エネルギー」の性質を解明することです。
なぜ「暗黒エネルギー」なのか?
我々が知っている宇宙は、約138億年前のビッグバンから膨張し続けてきました。その膨張の速度は、物体が互いに引きつけ合う重力の影響で次第に遅くなるはずでした。しかし、なぜか数十億年前から加速し始めました。この謎の原因と考えられているのが、重力とは逆に物体を反発させる力、つまり「暗黒エネルギー」です。
ユークリッド望遠鏡の特徴
ユークリッドは高さ4.7メートル、幅3.7メートルで重さ2トンの望遠鏡です。銀河の位置や形を見る可視光カメラと、距離を知るための赤外線観測装置を搭載しています。さらに、「重力レンズ」現象を利用して、暗黒物質の存在と分布も調べることができます。
銀河と暗黒物質の関係
「重力レンズ」現象は、暗黒物質の存在により背後の銀河がゆがんで見える現象です。これにより、銀河だけでなく暗黒物質の分布も調査することが可能になります。このようにして作成される精密な立体地図から、宇宙の構造が形成される過程における暗黒エネルギーの関与を理解することが期待されています。
まとめ
このように、ユークリッドの打ち上げは、宇宙の謎である「暗黒エネルギー」を解明する重要なステップとなります。それにより、宇宙の膨張を加速させている原因を探ることが可能となり、これからの宇宙物理学の新たな発見につながることでしょう。