先日、東京オリンピック金メダリスト兄妹、男子66キロ級の阿部一二三(25)と女子52キロ級の阿部詩(22=ともにパーク24)が、2024年7月開幕のパリオリンピック代表に内定したことが全日本柔道連盟(全柔連)から発表されました。
先進的な内定制度とその影響
このニュースには興味深い側面が多く存在します。まず一つには、今回の内定が五輪開幕13カ月前という、柔道史上最速のタイミングで行われたことです。これは、全柔連が導入した、特定の選手と同階級の他選手との間に明確な差があると判断された場合に、早期に五輪代表を内定するという先進的なシステムの影響です。
このシステムは自国開催の東京五輪を前に整備されました。その目的は、選手の心身の疲弊や、負傷のリスクを減らし、本番に向けて十分な準備期間を確保することにあります。これにより、選手たちはより良いパフォーマンスを発揮するための充実したトレーニング期間を得ることが可能となります。
システムの有効性と未来への影響
早期内定制度の導入以降、18年以降の世界選手権と五輪における金メダル獲得率は驚異の84%に上りました。これは、この制度が選手や指導者から好評を博し、競技の結果にも明確に反映されていることを示しています。
しかし、同時にこの新しい制度は、一部の選手が他者との明確な差をつけることで早期に五輪代表に内定するという、一見すると競争原理から逸脱するような構造をもたらしています。そこで問題となるのは、このシステムが五輪を目指す全ての選手に公平なものであるかどうかという点です。
制度の公平性についての考察
内定を得られなかった階級の選手にとって、この早期内定制度は他者との競争を早期に制限されてしまう可能性を生み出しています。これは、ある選手が他者との競争を圧倒するほどのパフォーマンスを発揮することで、他の選手に対して一種のデメリットを与える形となる可能性があるためです。
一方で、この新たな制度は選手たちにとって、より早期に五輪の出場を確定でき、精神的な安定感を提供するというメリットも持っています。その結果、選手たちは早期に本番に向けての準備に専念することができ、結果的にはより高いパフォーマンスを発揮することが可能となるかもしれません。
結論:制度改革への一歩
最後に、この制度が今後も存続することで、全世界のスポーツ組織が同様の制度を採用する可能性があります。この制度の利点と課題を総合的に評価することで、より公平で効率的な選手選出制度の開発につながることを期待します。